『パフォーマンスアップ』と『怪我の予防』が両立する理由

身体操作能力が高まる、つまり身体の扱い方がうまくなると発揮できるパワーや瞬発力が高まることは以下の記事で色々と解説してきましたが、実はこれらは同時に怪我の予防にもつながるものでもあります。

なぜ身体操作能力が高まると怪我の予防につながるのか、その理由を今回の記事ではお伝えしていきます。

怪我はどういう状況で起こるのか?

日常生活でも怪我をする機会は多々ありますが、ここでは主にスポーツ動作における怪我を中心に考えてみたいと思います。

スポーツにおける怪我のことを「スポーツ傷害」と呼びますが、このスポーツ傷害は「急性傷害」「慢性傷害」に分けられます。このそれぞれはどのような原因で生じるものなのでしょうか?

急性傷害

急性傷害とは、それまでに怪我の予兆がなく、ある動作やアクシデントをきっかけに瞬間的に生じた怪我と理解してください。そのとき急に生じた怪我なので「急性」なのですがこの急性傷害は回避可能なものと不可避なものとに分けることができます。今回は回避可能なものに焦点を当て、不可避なものどうしようもないものについてはここでは論じません。

※「あのときこうしておけば怪我をしなかったのに…」ということは、後からどれだけでも理由づけできますが、その状況が怪我以前に予測可能なものであれば、それは回避可能性のある怪我だったと考えてみてください。ここで論じるのは身体操作に関する部分だけですが、身体操作以外の要素が含まれている場合もあります。

例えば、初めての足首の捻挫。
これまで一度も捻挫をしたことがなかったのに、競技中のある咄嗟の動作で瞬間的に強い負荷が足首の靱帯に加わり受傷する場合などがこの急性傷害にあたります。捻挫も何度も繰り返しているとそれは慢性傷害となります。

慢性傷害

慢性障害とは、繰り返す動作によってその負担が経時的にある部分に蓄積され痛みが生じるものを言います。慢性傷害は不可避なものは少なく、ほとんどのケースで回避が可能です。

例えば、ジャンパー膝。
ジャンプ動作を何度も繰り返すことで膝を伸ばす筋肉である『大腿四頭筋』に過剰な負荷がかかり、その大腿四頭筋が骨に付着する近辺で痛みが出現する状態のことをジャンパー膝と呼びます。このように瞬間的な組織の損傷ではなく、繰り返される負担が蓄積されることによって徐々に痛みを生じさせる場合などがこの慢性傷害にあたります。

どちらの傷害も局所的な負担が原因

急性傷害の場合、その多くは動作時に身体の一部分に対して「瞬間的」に大きな負担が集中し、その部分の組織が損傷を受けることで起こります。

慢性障害の場合は、瞬間的な大きな負担ではないものの、同じ組織に「高頻度」かつ「反復」して負担がかかることで慢性的な痛みを生じさせます。

このどちらもある一部分つまり「局所に負担がかかる」という点では同じです。

急性傷害では、瞬間的な強い負荷を一つの筋肉、一つの関節などで受け止めすぎてしまうものを、他の関節にも分散させたり、力を逃したりすることができれば回避できる可能性があります。
また、慢性傷害も同じ組織に高頻度かつ反復して負担がかかるものを他の筋肉や他の関節にも分散させることができれば十分に予防できる可能性があります。

『加算』と『分散』がキーワード

身体がうまく扱いこなせるようになると、一つの動作に対して沢山の要素を扱えるようになります。

ヒトの身体、特に関節だけを取り出して考えてみましょう。一つの動作を1つの関節だけで遂行している場合と比べて、その一つの動作に2つ以上の関節を連動させて使えるようになることで、働かせられる筋肉の数が増えるため、発揮できる力が増加します。これが『加算』です。

これを逆に関節にかかる負担という視点で考えると、一つの動作を1つの関節で行うとその関節への負担が大きくなり怪我に繋がりやすいのに比べ、2つ以上の関節で動作が遂行できるとそれぞれの関節や筋肉にかかる負担を減らすことができます。これが『分散』です。

この『加算』と『分散』が、パフォーマンスアップと怪我の予防が両立する最大の理由です。

つまり質の高い動きはそのまま怪我の少ない動きでもあるということです。逆に質の低い動きは怪我に繋がりやすく、怪我をしやすい動きはパフォーマンス的にもレベルが低いとも考えられるのです。

怪我をしやすい選手や動きの中で痛みを感じやすい方は、身体に負担をかけやすい動きの癖があると考えましょう。今の動き以上に効率の良い動きがあることを知り、それがどのようなものなのかを是非このTHE コツ™️ TRAINING で学んでみてください。

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堤 和也

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