軸感を強める『壁押し』トレーニング

「身体軸」という言葉を聞いたことはありますか?

文字通り「身体の軸」のことですが、この『軸』というものは「身体意識」が作り出しているとも言われており、その影響か多くの場面で「意識さえすれば軸を作り上げることができる」と考えられているように思います。

「軸」という概念、イメージ、意識。それらを意図的に取り出し身体の動きとして構成する。

軸がどのようなものか、軸が通っているときの姿勢・動きをすでに経験して理解している者にとっては、それを意識的に取り出すことは可能ですが、その軸というものを体感したことがない、理解できていない者が意識的にコントロールして作り出すことができるのか?というと、それは非常に難しいのではないかと私は考えています。

そもそも軸のある動きが出来ている場合に、改めて軸を意識させる必要はないのに対して、軸を意識させたい場合というのは決まって軸がない姿勢・動きをしている場合です。少し意識させるだけで軸ができる場合は、軸が理解できている者。何度試してみても軸が出来ない場合、そもそも軸がどのようなものか理解できていないと考えた方が良いのではないでしょうか?

軸を作り上げることが出来ない者にとっては、単に身体軸を意識させるよりもまず先に「軸」が出来上がっているときの感覚を掴むことのほうが重要です。軸が通っているときの感覚・経験自体を持ち合わせていない場合、どれだけ軸を意識したとしてもそれは「意識的に無理矢理作り上げた力感の強い真っ直ぐにしようと頑張っているだけのもの」にしかならない場合がほとんどです

その軸とは、果たしてどのような感覚を通して身につけられると良いのか?

その一つの手段としての『壁押し』トレーニングをご紹介します。

『軸』とは適切な力の通り道

『軸』とは、骨が適切に配列された状態で「最小限の努力で最大の力を発揮できる」そんな「適切な力の通り道」が身体の中に出来上がっている状態、と考えてみましょう。

つまり姿勢という観点では「楽に姿勢が取り続けられる」状態が軸のある姿勢、動きという観点では「楽に力を伝えることができる」状態が軸のある動きと言い換えることが出来ます。

「結果として真っ直ぐ」となる場合は多々ありますが、単純に「見た目が真っ直ぐな状態」が軸ではありません。

「静止姿勢における軸」は骨を重力方向に配列させた状態

この静止姿勢における軸を身につけるには、『頭の上からの重量感覚』『踵への荷重感覚』が非常に役立ちます。下記のサイトで紹介している『ガンシナー』『Laboo.』を利用すると良い姿勢を感覚的に掴むことができるので、なかなかいい姿勢が保てない方には非常におすすめです。

「動作における軸」は力の伝達を最高率化させた状態

さてここからが本題です。

動いている状態での軸は、瞬間瞬間に変化するので一概に「この姿勢が軸のある状態」と定義するのが非常に難しくなります。そこで私は動作における軸を「力の伝達を最高率化させた状態」と定義しています。

重力の存在する地球上でヒトが何か物体に力を伝達させようと考えた場合、多くの場面で「地面からの反力もしくは摩擦抵抗」「重力(体重)」を利用することとなります。この力を身体内部を伝達させて対象物に力を加えるわけですね。

例えば、
ボールを投げる動作であれば手のひら・指先へ、
ボールを蹴る時には足へ、
体当たりするのであればその体幹の接触部位へ、
ラケットなど道具を使用しているときも手のひらを介して道具の先へ、
これら全て地面から得た力を対象物へ伝えています。

走る、ジャンプするといった動作も、体重を地面に効率よく伝えることで反力を得て身体を目的とする方向へ移動させています。

これらの動作全てにおいて、全身の筋肉が動員されるわけですが、それらが余すことなく全て同じベクトルに向かって力を発揮できている状態が動作時の「軸のある」状態です。

逆に「軸のない」状態とは、どこかで力が抜けているもしくはベクトルが別の方向を向いているような状態です。このような場合、発揮している力よりもより強い力で押し返した場合に、力が抜けている部分、途切れている部分で崩れる動きが見受けられます。

バレエなどで美しく手や足を空間上に配置する場合も、その先に何か物体があり軽く、柔らかく、力感なく力が加えられるような状態と考えると良いかと思います。動きの美しさとは、動きの無駄のなさを見て無意識に感じているのではないかと思います。

「軸がある」ときに感じるものとは?

力が最も効率よく伝えられているときには、全身に満遍なく力が入り、ある特定の部分に過剰に力が入りすぎることがない状態となります。これが「力感のない」状態ですね。力を入れている感覚が強くないのに、強い力が伝わっている状態と考えましょう。このような場合に「軸がある」と表現される状態となります。

軸のある動きは、「どこかに力を入れれば良い」という分かりやすいものではなく、「どこにも力が入っている感覚がない。それでもって全てに適切に力が入っている状態」という捉えどころが非常に少ないものであるため、それが軸感覚の習得が難しい理由です。

逆に力が効率よく伝えられていないときには、全体を見たときに他の部分と比較してどこかに過剰に力が入りすぎている部分がある状態となります。これが「力感のある」状態です。力感があるときには、力を入れて頑張っている感覚は強いのに、伝わる力はそれほど強くありません。このような場合「軸がない」と表現されます。頑張れば頑張るほどに軸が失われていく…何とも無常でもあります。

実際に力を加えてみよう!

今回紹介するのは『壁押し』ですが、壁以外にもバランスボールを押してみたり、を押してみたり、力を加える対象は何でも構いません。目的とする動作に近いものを選択してみましょう。

常に頑張りすぎずに楽に力を伝えられるように意識して取り組んでください。

Wall Walk & Wall Push – 壁歩き・壁押し –

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THE コツ™️ TRAINING
堤 和也

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