ボールなどを「投げる」「蹴る」といった動作は、手だけ足だけで遂行されるものではなく、その動作が大きくなればなるほどに対角線上の手足の動きが非常に重要となります。そしてその対角線上の動きに欠かすことができないのがその手足に連動した体幹の動き。


多くの球技にとって必要な動作であり、実際にボールなどを扱わなくても手足を大きく振り上げるような動作が必要な競技においては、体幹の対角線上における柔軟性は非常に重要となります。
今回の記事ではこの体幹の対角線上における柔軟性を獲得するのに最適なストレッチの方法をご紹介します。
肋骨と骨盤の位置関係を変幻自在に。

上図では肋骨と骨盤が同じ方向を向いたまま全身の向きが変わっているだけですが、クランチ(腹筋運動)のときにはお互いが向かい合い、反るときには離れ合い、ねじるときには左右逆の方向を向く。


実際の動作の中では肋骨と骨盤の位置関係を状況に応じて自由自在に変化させることで、体幹の筋肉を最適な状況で扱いこなせるのが理想です。
この肋骨と骨盤の動きの関係性は、胸と下腹部の向きで確認することが可能です。

体幹のパワーの源は『腹筋』
肋骨と骨盤を強く結びつけ、大きなパワーを発揮する腹筋。「腹筋を扱いこなせずして、体幹が適切に扱えるようになることはまずない」といっても過言ではないでしょう。ただし、個別の筋トレをやっておけば良いという訳ではなく、動作の中で自然と当たり前のように腹筋が使えている必要があります。

腹筋が扱いこなせていない場合、その負担は腰背部へ移り腰痛の原因にもなります。背部の筋肉ももちろん重要ですが、腹筋はそれ以上に重要な役割を果たしていると心得ましょう。加えて、腹筋が扱いこなせるようになれば、同時に背筋も上手く扱いこなせるようになると考えてトレーニングに取り組むと良いでしょう。
背中や腰の筋肉を傷めたとはよく聞くことがあっても、腹筋を傷めたとはなかなか耳にしないでしょう?つまり…そういうことです。
内腹斜筋↔︎外腹斜筋↔︎『前鋸筋』の繋がり

前鋸筋と外腹斜筋(+[反体側]内腹斜筋)の筋膜による繋がりは強力で、体幹を対角線上に肩甲骨↔︎肋骨↔︎骨盤(反対側)繋げる働きをします。

体幹のねじれの動き・パワーを腕に繋げるにはこの腹斜筋との繋がりの強い『前鋸筋』が扱いこなせることが必要です。この前鋸筋を扱うための基礎トレーニングとして非常に有効なのが『立甲』です。腕に上手く力が伝わらないな…という方は、下記の記事から立甲のメリットとその扱い方を学んでみてください。
腰椎・骨盤から大腿骨を繋げる『腸腰筋』

体幹で生み出した力を脚へ伝えるために最も重要な役割を果たしているのが『腸腰筋』です。
背骨のしなるような動きを骨盤・股関節を介して脚に伝え、より大きなパワーを生み出しながらも、同時に細かな動きを調整します。股関節の動きを腸腰筋を優位に扱いこなせているかどうかで、脚全体の操作性が大きく変化します。
腸腰筋の代表的な働きである『モモ上げ』が腸腰筋を使って出来ているかどうかは下記記事で紹介しているエクササイズで確認してみてください。
『反る』→『丸める』でパワーを生み出す
さてここまでで体幹の重要性、手脚の動きとの繋がりが少し見えてきたところでもう少し体幹のしなやかな動きについて理解を深めましょう。

先程紹介した4つの腹筋群を瞬発的かつ強力なパワーを発揮させるには、SSC[伸張反射]を機能させる、つまり反動動作を利用して腹筋群を強く素早く引き伸ばした状態から筋収縮を引き出す必要があります。
4層に重なって存在する腹筋は全て『体幹を丸める』働きがあります。その反動動作は『体幹を反る』方向の動きとなり、この体幹の屈伸動作の柔軟性がベースとして必要となるのです。
但し実際のスポーツ動作では純粋な屈伸動作だけで動作が遂行されることはほぼなく、様々な方向・角度に捻れながらその動きを作り出します。特に投げる・蹴るといった動作ではこの捻れの動きが重要となります。
対角線上に捻れながら動く
投げる

ボールを投げるときには、準備動作(反動動作)としてまずボールを持つ手と対角線上にある脚は大きく拡がり(青)、逆の対角線上にある手脚は近づき合います(黄)。そしてボールを手放すフォロースルーではこの関係性が逆になり、青線が縮み、黄線が拡がる状態となります。
蹴る

ボールを蹴るときも投げるときと同様に、青線は「拡がる→縮む」、黄線は「縮む→拡がる」の流れで動きが遂行されます。
手の末端からボールに力を加えるのか、脚の末端からボールに力を加えるのかの違いだけで、このときの体幹に求められる機能は非常に似通っています。つまり体幹部分の対角線上における捻れの「拡↔︎縮」です。この『拡』では体幹部分が「反りながらねじる」ように動き、『縮』では「丸まりながらねじる」ように動きます。
Slip into the Armpit – 脇くぐりストレッチ –
「反りながらねじる」「丸めながらねじる」この両方『拡↔︎縮』に必要な柔軟性を引き出し、体幹の対角線上のスムーズな動きを引き出す2つのストレッチをご紹介します。



※【Slip into the Armpit – 脇くぐりストレッチ – [Full ver.]】の動画視聴料は【¥440(税込)】となります。
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代表 堤 和也