良い姿勢をつくるため、
トレーニングの効果を高めるため、
「お尻(もしくはお尻の穴)を締めなさい」という言葉を聞いたことはありませんか?

良い姿勢を保つ、トレーニングの効果を高める目的でなされる「お尻(の穴)を締める」という行為は、身体操作という観点から見たときに推奨すべきものなのかどうか?
指導されたままやり続けて良いものなのかを考えてみたいと思います。
お尻の穴を締める筋肉とは?
主には「内肛門括約筋」と「外肛門括約筋」です。

内肛門括約筋は腸の筋肉の一部で、平滑筋という自律神経がコントロールする筋肉であり、お尻の穴を締めようと意識しなくても自律神経の働きで自然と締めることができます。
それに対して、外肛門括約筋は横紋筋であり、自らの意図によって働かせられる随意筋です。
『骨盤底筋』との関係性
トレーニングや姿勢を調整する際の「お尻の穴を締める」という声かけの場合、その筋収縮を引き出す目的としては上記の外肛門括約筋を働かせるというよりも、主として『骨盤底筋』への働きかけが意図されています。
※骨盤底筋とは…
骨盤の底の部分で骨盤内臓器をハンモックのように支える働きなどがあります。下図の前方の空間には尿道が、中央部の空間には肛門につながる直腸が通過します。

骨盤底筋は、コアマッスルとして体幹部分を安定させるために不可欠な筋肉であり、骨盤底筋が適切に機能することは尿漏れの予防などにも効果的です。

ただここで気をつけないといけないのは、
①締めすぎてしまうといけない
②常に締め続ける必要はない
③締める部位によって意味合いが変わる
ということです。