動きの回旋系連動性を高める『纏絲勁 (てんしけい)』

自分自身の身体の動きの中で『ねじれ』を感じたことはありますか?

普通に生活している中では、ほぼ感じることがないであろうねじれの動き。

しかし、あらゆる動きはねじれの中にあり、それらがうまく連動することによって身体動作は成り立っています

この身体のねじれとはどのようなものなのか?

全身にどのように繋がるのかを考えてみましょう。

関節の動きは全て『ねじれ』の中にある

そもそも一つ一つの関節運動を考えても、純粋な直線運動を行うものはほとんどなく必ず回旋の要素が含まれます。回旋運動の最も少ないものは、指の先端に近い関節(DIP関節,PIP関節)くらいでしょうか。

大きな関節の中で最も一軸性の動きが強い『膝の屈伸運動』も直線的に見えるようで、ほんの僅かにねじれています。

膝を伸ばしきる際に生じる外側への回旋運動を運動学では「終末強制回旋運動」と呼びます。逆に曲げるときには内側へ回旋します。

肘関節も上腕骨と尺骨はそれに近い動きをしますが、橈骨が大きく回旋方向に動き手のひらの向きをかえるので前腕部分は180°近くねじれます。

ねじれのない機械的な『直線的関節運動』

そもそも「ねじれのない直線的な動き」とはどのようなものか?

わかりやすいものとしては、ショベルカーをイメージすると良いかと思います。

向きを変えるための回旋運動はキャタピラの上の運転席の部分でのみ行われ、アーム部分は長軸方向に垂直な軸を支点に屈伸運動するのみです。

ここでアームとその先端部分(バゲット)の動きを想像してみましょう。

ショベルカーのような機械的な動きには「角」があります。見た目に「カクカク」して見えるということですね。アームの継ぎ手が直線的な関節運動しか行えない場合、その先端のバゲットをなめらかに直線的に動かすことは非常に困難です。

つまり直線的な関節運動が先端部分(手先・足先)を直線的に動かしているわけではないということであり、「直線的な」「角のない」「なめらか」動きを生み出すには関節部分のねじれ(回旋運動)が必須となるのです。

ロボットダンスと呼ばれるものがあるように、ねじれを伴わない(ように見える)動きをヒトが身につけるには逆に技術が必要なのです。動物の関節は、ロボットのような単純な一軸性の継ぎ手で出来上がっておらず、筋肉も一軸性の動きを作り出すようには存在していません。

筋肉はねじれるように骨についている

関節がねじれを生じさせるような構造をしているのと同様に、筋肉も関節周りに「まとわりつくように」「多方向から」「複数の」筋肉が骨に付着しています。

関節が単純な屈伸運動からのみ成り立っているのであれば、屈側・伸側のそれぞれに筋肉が一つずつあれば十分です。ショベルカーのアームの継ぎ手はその良い例ですが、ヒトの身体では実際にはそうなっておらず、1つの関節に対し2つ以上の筋肉が様々な方向から走り、「ねじれる関節運動」を支えています

ねじれがつくる『直線的な動き』

ここで、目の前にある食べ物に手を伸ばし、それを口に運ぶという動作を想定してみましょう。

まず手を伸ばし机の上にある食べ物に手を伸ばすとき、手のひらは下を向いた状態で脇が開き、腕が伸びています。そして手を口に運ぶときには、手のひらは顔の方を向いた状態で脇が締まり、腕が曲がります。

このとき指先は、食べ物の置いてあるところから口までの最短距離を通るように一直線に移動します。

この直線的な動きでは、
 ・前腕のねじれ : 回内→回外
 ・上腕(二の腕)のねじれ : 内旋→外旋
 ・肩甲骨のねじれ : 上方回旋→下方回旋
がうまく連動して動くことで成り立っています。

ショベルカーのような直線的関節運動では、このような動きを作り出すことはできません。

歩行動作も全てねじれ

歩いているとき進行方向に対して身体の各関節が直線的に動くイメージを持っているかもしれませんが、この歩行動作も全てねじれの中にあります。

例えば、関節の動きが直線的であった場合にどのような動きとなるのか?一昔前に世間を賑わせたホンダの「ASIMO(アシモ)」の歩き方をイメージすると良いでしょう。

アシモが発表された当初よりもかなりスムーズに動く印象ですが、生きた人間の動きと比べるとまだまだ「ぎこちなく感じる」のは否めません。

実際にヒトが歩くとき(左足を一歩前に踏み出すとき)には以下のようにねじれが生じます。

①左股関節が外にねじれる(外旋) ※前脚

②右股関節が内にねじれる(内旋) ※後脚

③骨盤が右へねじれる(右回旋)

④背骨が左へねじれる(左回旋)

⑤右の肩甲骨が外に広がり、二の腕が外にねじれる(肩甲骨:外転・上方回旋、上腕骨:外旋) ※前の腕

⑥左の肩甲骨が内に寄り、二の腕が内にねじれる(肩甲骨:内転・下方回旋、上腕骨:内旋) ※後ろの腕

上記のように大きな部位に分けて見ただけでも6つの関節がねじれることで一歩を踏み出しています。実際の歩行動作では、さらに細かな関節でも小さなねじれが生じている他にも、「ねじる」だけではなくその「ねじれを戻し」「逆方向へのねじれの動きにつなげ」「繰り返す」ことで歩くという動きは成り立っているのです。

しかもその歩く動きを制御するために、全身の筋肉が動員されています。

さて、ヒトの関節や筋肉、動きは「ねじれ」を土台にしているということが理解できた上で、このねじれの繋がりを強化するための基礎トレーニングをご紹介しましょう。

スポーツ動作では、このねじれの繋がりがより重要となります。

ねじれの繋がりを強化する『纏絲勁 (てんしけい)』

「TENSHIKEI」とは、元々太極拳の動きの一つであったものを、関節のねじれの繋がりを理解し強化するためのトレーニングとしたものです。

膝へ負担をかけないために、下腿・膝の動きはほとんど出していませんが、武術的な動き(相手に力を加える動き)として行う場合には、下腿の傾斜、膝の動きを入れてみてもよいかと思います。

※【TENSHIKEI[纏絲勁 (てんしけい)] -Full ver.-】の動画視聴料は【¥220(税込)】となります。

動画視聴をご希望の方は、THE コツ™️ TOOLs オンラインショップから¥220円分の動画視聴チケットをご購入ください。
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THE コツ™️ TRAINING 
堤 和也

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