さて、以前に以下の記事で『抜重』について解説し、抜重を身につけるためのトレーニングをご紹介しました。
今回の記事では、
「抜重がどういうものか、その動きの感覚も理解できたけど、実際の動きにはどのように繋がるのか?繋げていけばいいのか?」
とお悩みの方に向けて、抜重そのものから少し発展し、抜重と同時にステップできる能力を身につける方法をお伝えします。
もし上の記事をまだ読んでいない方は、そちらからご確認いただき、まず『抜重』そのものを身につけてください。

抜重とは位置エネルギーを運動エネルギーに変える作業
ヒトには身体重心が存在します。
立った状態のまま静止しているときには、身体全体の重心位置は骨盤内に存在しますが、動いて活動しているときには、関節を介して身体各部位が様々な方向に自由に動くため、身体各部位のそれぞれの重心位置の変化に合わせてを身体重心位置も多様に変化します。

重心位置が地面から離れている場合、その身体には『位置エネルギー』が存在しています。立っているときの位置エネルギーを生み出しているのは、「立つ」という姿勢を保つために働いている『筋肉』ですね。
寝そべっているときには、地面に対する位置エネルギーはほぼゼロに近い状態なので、運動エネルギーに変えるものがそもそも存在しません。
ただ立っているだけで存在するエネルギーを、次の動作の初動に活用するのが『抜重』です。

突っ立ったまま、重心位置の高い状態で動いて筋肉に反動を与えて初動の力源に活用するものは、抜重ではありません。反動を利用した単なる水平方向の重心移動です。
『抜重』は位置エネルギーを「落下」という垂直方向の運動エネルギーに変えて利用し、筋肉の弾性エネルギーに変換し初動に活かそうとするものです。
ではどうすればこの抜重を初動に活かす動きができるのか?
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