『立甲』ができるメリット
①腕が長く、広く扱えるようになる
立甲が出来るようになるということは、腕が肩関節からではなく、肩甲骨の内側(背中から骨が浮き出ている部分)から扱えるようになるということです。

腕の動きの起点が肩関節から背中にまで伸びるので、腕が長く、しなやかに、大きく動くように見えます。
また肩甲骨を大きく動かせるようになることで、肩関節の可動域が拡がります。
②肩に負担の少ないゼロポジションを使いこなせる
ゼロポジションとは、肩甲骨にある肩甲棘と上腕骨が一直線に配列された状態を言います。

関節窩(関節の受け皿)に上腕骨がピッタリとはまり込み、肩関節を覆う靱帯に負担が最も少ないのがこのゼロポジション。
立甲がうまく扱いこなせるようになると、このゼロポジションに近い状態を維持して腕が扱えるようになり、肩関節を傷めにくく、脱臼のリスクを減らすことにも繋がります。

ゼロポジションは本来、四つ足歩行時代に最も適応し安定していた骨の位置関係に近い状態です。四つ足で歩く哺乳類はそのほとんどが立甲と同じ骨の位置関係で前脚を使っています。
③力が発揮しやすくなる
肩関節周囲にはたくさんの筋肉が存在するものの、その深部にある一つ一つの筋肉は非常に小さく大きな力を発揮するには不向きなものがほとんどです。
立甲ができるようになることで、これらの小さな筋肉への負担を減らしながら操作性を高めつつ、肩甲骨から肋骨につく「前鋸筋」と肩関節をすっぽり覆う「三角筋」いう大きな筋肉で強いパワーを生み出せるようになります。
④瞬発力が高まる
素早く強い力を発揮するためには、脱力をベースに体幹部分との動きの連動性の中でSSC(伸長反射)、RSSC(回旋系伸長反射)を発動させる必要性があります。
体幹(胸郭)と肩甲骨を結び、瞬発力のある動きを連動させるために重要な筋肉が前記の『前鋸筋』です。立甲を使いこなしながらスピードのある動きのトレーニングに取り組むことで、体幹と腕との素早い動きの繋がりを強化することが瞬発力を高めることにつながります。
⑤指先がコントロールしやすくなる
指先が上手く扱えない原因の多くは、指先に力が入りすぎていることが原因。手足末端に力が入りすぎるのは体幹部分がうまく機能していない証拠です。
例えば野球のピッチャーの投球を考えてみましょう。

指先に強く力を入れてボールを握りしめていると、ボールのリリースがうまくいかず、ボールが思ったところに飛んでいかない、変化球など細かな動きをコントロールできないといった状況に陥ります。また指先で細かく操作しようとすればするほどに力みが強くなり、余計にコントロールが崩れるといった悪循環にも陥りやすくなります。これはイップスにも繋がりうるものです。
肩甲骨を含めた体幹部分は非常にたくさんの骨から成り立っており、細かな調整は本来こちら側で行えるのが理想です。そして指先はできるだけ力を抜いて最終的な微調整に留めておく必要があるのです。