空手の『組手』ステップにおいて「相手に次の動きを悟られないようにすること」、「どのようなタイミングでも自由に素早く動けること」はポイントを獲得し勝利を掴むために非常に重要な要素です。特に必要以上に頭が上下に大きく揺れてしまうようなステップ、脚が棒立ちのような状態のままのステップは、初動が大きく遅くなりがちとなるだけでなく相手の動きに対する反応も遅れやすくなります。

今回の記事では、重心の上下動を最小限にし、いつでもどんなタイミングでも自由自在に動くことができるようになるために私が重要と考えている3つの基本ステップをご紹介します。


基本のステップは「股関節」と「つま先」を繋げて行なう。
ステップの跳ねる動きを、「股関節」で行なうとお尻の筋肉(臀筋)とハムストリングスで骨盤を跳ねさせるように動くことができ、「つま先」で行なうとアキレス腱のバネを使って全身を跳ねさせるように動くことが出来ます。「股関節」と「つま先」を繋げるとは、この臀筋、ハムストリングス、アキレス腱のバネを同時に使ってステップを行なうということです。
股関節がいつでも使えるステップができていると、お尻とは反対側にある脚の付け根の筋肉「腸腰筋」が使いやすくなり、地面から素早く脚を引き上げることもできるようになります。

ヒザを使ってステップしてはいけない最大の理由とは?
ヒザを使ったステップとは「ステップするたびにヒザが大きく前に出るようなステップ」です。このヒザを優位に使ったステップをしていると、跳ねるたびに膝蓋骨(ヒザのお皿)周辺に力が入りヒザを傷めることに繋がりかねません。このような動きの癖を持っていると成長期に「オスグッドシュラッター病」を患いやすくなります。
またヒザを使ったステップでは、多くの場合脚の付け根(鼠蹊部)が開き、腰が丸くなりがちであり、股関節がうまく使いこなせなくなってしまうのです。さらに脚の力が抜きにくくなり、脚が全体的に硬く、柔軟性が乏しくなりやすいのも難点です。

ステップしていて、ヒザ(特にお皿周辺)にしんどさを感じるような場合には太もも前にある「大腿四頭筋」が必要以上に負担を強いられている状態となっていると考えましょう。
小学生にヒザを使ったステップをする子が多いけど、中学生、高校生、大学生とカテゴリーが上がるにつれてこのステップをする選手は少なくなるよね。
勝ち上がれなくなるのか?怪我で脱落してしまうのか?ステップの変更を余儀なくされるのか?はたまた…

大腿四頭筋はヒザを伸ばす働きがあり、ヒザが曲がろうとする動きを止める場合にも働きます。また前進する動きにブレーキをかける働きもあるため、大腿四頭筋は別名「ブレーキ筋」とも呼ばれます。このブレーキ筋に力を入れたステップをしていると、前進する動きが弱くなるだけでなく、踏み込んだときにヒザが曲がらないため重心を深く落とすことが難しく、浅い動きとなってしまうのです。
真逆の太もも裏に位置するハムストリングスは別名「アクセル筋」とも呼ばれ、動きに推進力を与えます。また股関節を折り畳んで深く沈み込む動きを受け止めることができるため、『抜重』を含めた重心操作にも非常に重要な役割を果たします。

ステップや様々な動作の中でヒザは必ず動きますが、その動きをヒザ(大腿四頭筋)中心ではなく股関節(臀筋・ハムストリングス・腸腰筋)をメインに扱いこなせるようなステップを目指しましょう。
※重心操作に習熟すると大腿四頭筋だけでなく、裏側のハムストリングスも動作のブレーキとして扱えるようになります。
それでは、ヒザを使いすぎずに、股関節、つま先を使ったステップができるようになるための3つの基本ステップをご紹介します。
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